レバナス投資の落とし穴:為替ヘッジなしで長期リターンを狙うべき理由

投資信託

過去のレバナスブーム

NASDAQ100指数の2倍の値動きを目指す「iFreeレバレッジNASDAQ100(為替ヘッジあり)」(大和アセットマネジメント)は、為替変動リスクを抑えつつ米国ハイテク株の成長を2倍で享受できるとされ、2020~2021年にかけて大きな人気を集めました。

この頃に投資を始めた人は、年率90%を超えるリターンを経験しましたが、その後2022年に大幅下落。回復には2024年まで時間がかかり、長期保有者の多くは期待通りの利益を得られず苦しい状況が続きました。

今回は、iFreeレバレッジNASDAQ100(為替ヘッジあり)のリスクと、2024年7月に登場した「auAMレバレッジNASDAQ100為替ヘッジなし」が長期投資家にとって魅力的かどうかを考察します。

iFreeレバレッジNASDAQ100(為替ヘッジあり)の2つの大きなリスク

為替ヘッジコストの増大

為替ヘッジは円高によるドル資産の目減りを防ぐ一方で、コストがかかります。2021年までは金利差が小さく、年率1~2%程度の負担でした。しかし2022年末、FRBの利上げにより米政策金利は4.25~4.50%となり、その後2023年半ば以降は5.00~5.50%に達しました。一方、日銀はゼロ金利を継続したため、ヘッジコストは年率4~5%にまで跳ね上がりました。

このコストは馬鹿にならず、例えば100万円投資していると年間4~5万円がヘッジコストとして消えていきます。さらに、2022年から2024年にかけて1ドル115円から160円へと約39%も円安が進んだのに、為替ヘッジのおかげ(皮肉ですが)でこの円安メリットは一切受けられませんでした。

レバレッジファンド特有の「逓減効果」

レバナスは日々の値動きを2倍にするため、日次リバランスが行われます。ボラティリティが高い相場では、この仕組みが資産を徐々に削る「逓減効果」を生みます。

例えば、NASDAQ100が1日目に5%下落して2日目に5%上昇した場合、非レバレッジ型は-0.25%の損失ですが、2倍レバレッジ型は-1%の損失となります。2022年の高ボラティリティ相場では、NASDAQ100が約-33%下落した一方、iFreeレバレッジNASDAQ100(為替ヘッジあり)は-61.3%もの大幅損失を記録しました。

長期投資における為替ヘッジなしのメリット

為替ヘッジありのレバナスは円高局面には有効ですが、長期で見るとデメリットが上回る場合が多いと感じています。

  • 為替ヘッジコストの回避
    年率4~5%という高額なヘッジコストがゼロになるのは大きいです。
  • 円安トレンドの恩恵
    過去20年で、2011年の75円台から2024年の160円台へと倍以上に円安が進みました。今後も円安傾向が続けば為替差益も取り込めます。
  • トータルリターンの最大化
    為替変動を「リスク」ではなく「リターンの一部」と捉え、NASDAQ100の成長と為替差益をダブルで享受する戦略です。

もちろん短期的に円高になると為替差損が出るリスクはありますが、長期保有を前提とするなら為替ヘッジなしのほうが合理的だと私は考えています。

新たな選択肢:auAMレバレッジNASDAQ100為替ヘッジなし

2024年7月26日に販売開始された「auAMレバレッジNASDAQ100為替ヘッジなし」(auアセットマネジメント)は、iFreeと比べて以下の点で優れています。

  • 為替ヘッジなし:ヘッジコストゼロ
  • NASDAQ100の2倍レバレッジ:米国ハイテク株の成長を2倍で追随
  • 低コスト:信託報酬0.4334%(iFreeは0.99%)

為替ヘッジコストがなく信託報酬も安いので、長期でのトータルリターンはiFreeより優位になると予想されます。

私の考えと今後の投資方針

正直、レバナスはリスクが大きく、回復にも時間がかかるため、そもそも購入する必要がないのではないかとすら思います。ただ現在は「auAMレバレッジNASDAQ100為替ヘッジなし」を約120万円保有していますので、将来的には利益確定し、その資金をFang+か毎月分配型の投資信託に回す予定です。FANG+もボラティリティは大きいですが、下落からの回復力はレバナスよりも圧倒的に早いと感じています。

まとめ

レバナス投資には、為替ヘッジコストと逓減効果という見落とされがちな落とし穴があります。もし投資するなら、仕組みとリスクを十分理解したうえで、「為替ヘッジなし」で長期運用する方が合理的です。

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