マグニフィセント・セブンを買って後悔:集中投資で学んだ教訓

投資信託

テクノロジーの未来に期待して始めた投資

私は2025年初めにNISA口座と特定口座で「米国大型テクノロジー株式ファンド」(通称:マグニフィセント・セブン、以下「M7」)を購入しました。アマゾン、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、エヌビディア、メタ、テスラという、時代を代表する7社に均等に投資するという構成は非常に魅力的で、将来性の高いポートフォリオだと感じていました。しかしながら、その後、大きな含み損を抱えることになり、この選択を深く後悔することになりました。

後悔の中で向き合った「比較」という視点

このまま損失を受け入れるべきか悩んだ末、私は冷静に状況を把握するため、同じく米国テクノロジー企業に投資する「FANG+インデックスファンド」と比較してみることにしました。すると、パフォーマンスの違いだけでなく、ファンド構造の相違も明らかになり、自分の判断の甘さと集中投資のリスクの大きさを実感することになったのです。

M7ファンドに感じた魅力とは?

私が当初M7を選んだ理由は、次の3点に集約されます。

  • 運用コストの低さ
     信託報酬は年率0.594%。「iFreeNEXT FANG+インデックス」(0.7755%)よりも割安で、長期保有を前提にした私には大きな魅力でした。
  • 成長企業への集中投資
     生成AI、クラウド、自動運転など、将来性のある技術分野を牽引する企業群に、直接的かつ均等に投資できるという構造に強い魅力を感じました。
  • テスラの可能性への期待
     イーロン・マスク氏の掲げる「10兆ドル企業」構想、人型ロボットや完全自動運転への挑戦など、破壊的イノベーションへの期待から、特にテスラに注目していました。

FANG+との比較

比較項目M7ファンドFANG+インデックス
銘柄数7社10社
信託報酬0.594%0.7755%
テスラの組入ありなし(2024年9月に除外)
分散効果限定的(テスラ依存)比較的高い

表面上は、M7の方がコスト面で有利で、構成銘柄も申し分ないように見えます。しかし、5年間のパフォーマンスには次のような大きな差がありました。

  • M7ファンド(推定):累積リターン +258.3%、年率平均リターン 29.8%、ボラティリティ 約34%
  • FANG+(実績):累積リターン +411.0%、年率平均リターン 38.4%、ボラティリティ 約31%

リターンの差もさることながら、価格変動リスク(ボラティリティ)もFANG+の方が低いという点が印象的でした。

テスラが含まれているというリスク

M7は7社に均等配分されているため、テスラの動向がファンド全体に与える影響が非常に大きいです。

  • 日々の値動きの大きさ
     テスラ株は1日で10%以上動くこともあり、そのたびに基準価額が大きく上下しました。
  • CEOの言動が相場を揺らす
     先日も、イーロン・マスクとトランプ大統領との対立報道を受けてテスラ株が1日で14%も下落しました。
  • 他銘柄ではカバーしきれない構造
     仮に他の6社が堅調でも、テスラの下落を吸収できないファンド構成は、大きなリスク要因です。

FANG+の柔軟性がもたらした優位性

対照的に、FANG+はより多様な10銘柄で構成され、必要に応じて組み換えを行います。2024年にはテスラを除外し、代わってクラウドストライクやサービスナウといった成長中のクラウド関連銘柄を加えることで、パフォーマンスの安定に成功しました。

実際、2024年の成績は次のとおりです。

  • FANG+:+72.4%
  • M7:+22.8%

テスラへの依存と、銘柄構成の硬直性が、M7の劣勢を招いた大きな要因であることが明らかになりました。

投資を振り返って学んだこと

M7を購入して私が得た教訓は、次の通りです。

  • 「成長性」と「安定性」はまったく別の概念である
  • 話題性や人気だけで投資先を選ぶのは危険
  • 集中投資は想像以上にストレスが大きい

テスラという企業の将来には期待していましたが、その未来と投資としてのリスクは別物でした。

今後の方針

現在保有しているM7は含み損の状態です。NISAで購入した分は今後も保有し続けますが、特定口座で購入した分は含み益に転じたタイミングで売却する予定です。今後のテック株投資については、FANG+やナスダック100など、より分散性が高く、柔軟性のあるファンドを重視したいと考えています。

M7ファンドの構成銘柄に個々の問題があるわけではありません。しかしながら、変動の大きい銘柄が高比率で含まれている場合、その1社の不調がファンド全体を押し下げてしまうリスクを痛感しました。

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